2020年9月11日金曜日

オーキシンと屈性の原理

 




植物が伸長するためには外的要因である光や水、二酸化炭素などと、それを生命活動に変換する内的要因か必要です。


これはあらかたどの生物にも備わっている機構なのですが、生理活性は異なれど、植物も人間同様にホルモンが作用していることはご存知でしょうか。


何種類もの植物ホルモンが体内で作用し、枝の伸長・阻害、肥大、落葉、摘果、などに関わる情報伝達を調節して生命活動を維持しているそうです。


天狗巣病や根頭癌腫病などは、細菌が植物の染色体DNAに侵入して悪さをして過剰な植物ホルモンの分泌をうながし、細胞の異常増殖を引き起こすものだそうです。


一体どんなプロセスを経ればそのようなことが解明できるのか私には皆目見当がつきませんが、聡明な方々が長い年月をかけて紐解いた文献をおもむろに手に取れば、その年月に比べたらほぼ刹那で構造を読み解き活用できるとはなんとも幸福なことでしょうか。


何の変哲もない夏の昼下がりに、脈々とつながる人間が積み上げてきた知恵の歴史を垣間みては、じわりと脇の下に汗が滲むのを感じるわけですが、それはただエアコンをつけていない夏の昼下がりに飲んだ先ほどの麦茶が、まさに30℃を越えんとする気温のせいで噴出しただけではなのかとも思います。


そういったわけで、昔に読んだ植物ホルモンに関する本をおさらいしていたのですが、植物ホルモンの中のオーキシンと屈性について書かれていた項を読んでいました。


オーキシンとは、光や重力に対する屈性、頂芽優勢、発根誘導などの生理活性に関わるホルモンで、生長運動に大きく関与しているようです。


植物体の伸びる各枝の先端でよく働き、細胞分裂を助長するような感じでしょうか、枝先に光があたると、葉緑体でこれが活性化して伸長活動をひきおこすようです。


枝が光の方向に伸びてゆく原理はこのことで、私も単純にそうかと思っていました。


結果的に光の方向に伸びるので、一見すると間違った解釈ではないのですが、この本には以下のようなことが書いておりました。


屈性の原理とは、簡単に説明すると「光に当たっている枝の裏側(陰になっている部分)にオーキシンが溜まることで起こる現象」ということらしいのですが、このホルモンの作用の一つに「細胞壁を緩める作用」というものが知られております。


つまり、光に当たっていない側面の細胞壁が緩むことで、真直ぐ伸びるものが、あたかも光の方に引っ張られるように見える、ということでしょうか。


もしくは単純に、光に当たっていない側のオーキシン濃度が高いため、あたかも光の方に押し出されるように見える、ということでしょうか。


ものの本には、光に当たっている側と当たっていない側の濃度の差異で、結果的に成長の差があるため云々、とまでしか書かれていないので真相は定かではないのですが、枝が光に向かって伸びている様に見える理由が、このオーキシンと屈性の働きによるものだそうです。


結局、ほぼ光のほうに向かって伸びているんですけどね。。。